Self Quest Labインタビュー企画第2弾!
今回は静岡県浜松市から東京のスタジオに通われ、ATI教師資格を得られた山本 玲(やまもと れい)さんにお話をうかがいました。
悪いところを指摘するのではなく「何をしたいかという望み」に寄り添っていくレッスン
━━ ラボ・クラス(教師養成コース)を卒業しATI(アレクサンダー・テクニーク・インターナショナル)の教師資格を取得されて、最近の活動について教えてください。
普段は地元の浜松、時々東京でレッスン活動をしています。やりたいと思っていたことが具体的にできつつあり、それが自分が予想していた以上に早めに進んでいる感じがしています。
ラボ・クラスでのアレクサンダー・テクニーク(以下、AT)教師資格取得までの学びを通して、教え方が確実に変わりました。何より仕事をしていて自分が楽しいです。
ATを学び始めたのは自分のためでした。本番で緊張することや、指を痛めて弾き方を変えたい、自分のコンプレックスを払拭したいと思っていました。確かにその改善は進みましたが、副産物として仕事(教えること)が楽しくなりました。その延長上に「資格を取りたいな」という気持ちが芽生えました。教えることがどんどん楽しくなったからです。
以前は型にはまった教え方をしていましたが、今は「この子がどうなるか」「この人がどう開いていくか」と、その人の持つ可能性を見るようになり、教える手法の選択肢が増えました。色々と提案させていただいてそれが当たった時が楽しい。クラスで教わってきたことがこれなんだ、と実感できた時の喜びがあります。私の提案によって良い方向に変化が起きた時には達成感がありますし、仕事を本当に楽しんでいます。
レッスンでは生徒さんのマイナスを埋めてあげようとはしません。先に悪いところを指摘するのではなく「何をしたいかという望み」に寄り添っていく。こんなレッスンを、まだATのレッスンを知らない生徒さんたちにも伝えていきたいです。
ATI資格の認定証書は額に入れてレッスン室に飾っています。資格取得が大きな区切りという感じではまだ全然ないのですが、とても誇らしい気持ちで自信になっています。生徒さんたちも資格があることによって安心してレッスンを受けてくださっていますし、ATI教師資格を持つピアノ教師としてご紹介いただく機会も増えてきています。
素直に夢を語れるようになった
━━ ラボ・クラスはどんな学校でしたか?
音楽に関する共通意識があること、そして共感してもらえる、この点が私にとっては一番の安心材料でした。音楽をやっている人でなければわかってもらいにくいこと、伝えたいことをダイレクトに言える。これはすごく居心地が良く、音楽家がATを学ぶ場として、安心安全の場がさらに広くなった感じがしました。
演奏家にとって本番での緊張や失敗は大きな心理的ダメージがあることも共感できる(わかってもらえる)のがありがたく、様々な学びが「楽しい」だけでなく心理的な「安心安全」につながりました。
安心安全の場に居たことで学びも資格取得もナチュラルに進んでいきました。今思えばどうしてこんなに自然な流れだったのか不思議です。「私なんて資格は取れない」というブロックがいつの間にか外れた気がします。少しずつ自信が培われて隠していた本心が出てきたのかもしれない。素直に夢を語れるようになったのだと思います。無理に目標を設定するわけではなく、無理に発奮するわけでもなく、自然に気持ちがその方向に進んで行きましたし、資格試験も目の前にあることひとつひとつ取り組んでいるうちに山を超えていた感じです。
先生方も音楽を知っている方というのも大きな要素です。2人のメイン教師は博識で豊富な経験があり、かつ違うタイプの先生たち。2人のバランスが絶妙で、学びを深めるのには最高だと思いました。
進化している自分が楽しいし面白い
━━ 後輩の皆さんへ、またこれから学ぶ人へメッセージをお願いします。
学びたいと思った時が行動する時。私は以前は何年も迷ってから動く人間でしたが、人生は限りあるもの、迷っている時間がもったいないし迷っていても生活は変わらない。「迷ったら行動することを選ぶ」これが今の私のモットーです。
ラボ・クラスで学ぶと、資格を取る取らないにかかわらず進化している自分が楽しいし面白い。ラボ・クラスに入って、進化の速度が上がってきた気がします。
音楽家として共感してもらいつつ学べる場としては最高のスクールです。アレクサンダーテクニークを学びたい、身体のことをもっと知りたい、と思う人におすすめします。
安心安全だけれども、皆真剣に学んでいるし演奏家としても尊敬できる人たちの中で学べます。
━━ 今後の夢は?
これからもっと極めたいことがあります。かつての私のように、レッスン業が楽しいと思えず単に仕事になってしまっている人たちや若いピアノ指導者の方たちに、私の体験してきたプロセスを伝えたいと思っています。ATを学んでいくことで自分が楽しくなること、日々の仕事が本当に楽しくなることを共有したいです。
*編集後記*
「安心安全な場」「共感」「楽しい」という言葉が何度も聞かれました。
音楽家には、完成度を求めて長期にわたる地道な努力を続け、常に課題に取り組み続けるという修練の文化があります。しかも人前において一発勝負で結果を出すチャレンジが当たり前のシビアな世界。ここで起こる身体的精神的な体験をお互いが知っている上で、共に学び合える安全な場としてラボクラスがあった。そんなお話を伺えました。
共感し合えて本音を出せる環境だったからこそ「資格を取りたい」と思えた玲さん。ATの学びそのものですね。自分を開いて、自分の本心を知って、そして素直にそれに沿った行動を取る。そして自分への信頼と仕事の楽しさを手に入れられました。
これからも、ご自身のプロセスをたくさんの人たちに伝えていっていただきたいと思います。
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